《MUMEI》 ――― 松の月1月の勝負… 兼松は配られた手札と、晒された場札を一目流し見て、密かに樮笑んだ…。 兼松の手札には「桜に幕」「桐に鳳凰」の20点札と「梅の字札」が揃っている。 そして場には「桜の字札」が晒されていた。 それらの豪華な札色は、兼松の手に「三光」「花見」「赤タン」をもたらす可能性を秘めている。 兼松にとって幸先良く先手を取るためのシチュエーションが整っていた。 (今度こそ、この女をモノにしてやる…) 兼松は目の前に座る女の、紅色の詰袖の下に隠された裸身を妄想し、締まりの無い笑みを浮かべる。 不埒な欲望に囚われ、自らの立場を完全に忘れた愚かな男がいた…。 ゚・:*:.。*。.:*:・゚*゚・:*:.。*。.: 前へ |次へ |
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