《MUMEI》

独りで屋上にいたら

「珠季‥」

千代が来た。

「ん、千代──‥どーした‥?」

「大丈夫‥? やっぱり綾瀬君の事‥」

「別に‥。つーかさ、これが当たり前なんだよな。アタシら元から仲悪いんだから」

「そんな事ないよ」

「ぇ‥?」

「珠季と綾瀬君は、仲が悪い訳じゃないんだと思う。ただ‥」

「そーかな‥」

アタシには

そうは思えねぇ。

だってアイツは‥

アタシの事なんて

何とも思ってねーんだ。

何とも‥。

「メガネなんか──大っキライだーッ」

「た‥珠季‥?」

「ぁ〜、スッキリした」

「珠季‥?」

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