《MUMEI》

「なぁ」

「読書中なんだけどな」

「話しかける位いーだろ」

「──‥用件は」

「ん」

「‥クロスワードか」

「先に解き終わった方が勝ち」

「ルールはわざわざ訊くまでもないけど」

「とにかく出せ、シャーペン」

「僕はシャープペンシルは使わない」

「んじゃあ何でもいーから書くもん出せ」

イラつきながら言ったら‥

メガネは渋々

ペンケースから鉛筆を出した。

「いつでもいいよ」

「あの時計が35分になったら始めだ。いいな」

「あまり気乗りはしないけど、暇つぶしにはなりそうだな」

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