《MUMEI》
頑張るね
「いってきまーす」
 風邪がすっかり治って、学校に行った。
 廊下ですれ違った、燐・・じゃなくて・・城山先生は風邪を引いていた。
「城山先生、風邪引いたんですか?」
「・・・何言ってる・・何言ってるんですか」
「がんばってくださいねっ♪」
「む・・・・か・・」
「城山先生、今日理科の授業ありますよね?」
「はい」
「頑張りますね」
「はい、頑張ってください」
「じゃあ」
「じゃあ・・ゆ・・・目黒」

 学校では『城山先生』、『目黒』じゃなきゃいけないのだ。

 教室に入った。
 皆からの視線をくらう。
「おはよう・・・」
「雪・・」
「美佳・・おはよう」
 美佳が小さな声で言う。
「城山先生と付き合ってるって本当??」
「へ??」
「皆が言ってた・・」

『ピンポンパンポーン。1年生の、目黒 雪さん、至急職員室まで来てください』

「あっ・・行って来るね」
 どうしよう・・・皆にばれちゃった。
 今、職員室に呼ばれたのも?そのこと?



「ガラガラ」
「失礼します・・」
「目黒さん・・・」
 職員室の先生からの熱い視線を受ける。
 城山先生が何度も何度も頭を下げている。
「本当じゃなかったとしても・・疑われるだけで問題外だ・・城山先生は3週間学校に来なくていい」
「はい・・・」
「待ってくださいっ!!本当の事じゃないんですから・・城山先生を休ませなくたって・・」
「勿論・・貴方もですよ」
「えっ?」
「2週間の謹慎処分です」
「・・・・はい・・・」



 親に、どうやって説明したらいいだろう・・。
「目黒さん・・・親御さんには・・先生が伝えておきます。今日はとりあえず、家に帰りなさい」
「はい・・」
 学生かばんを持って、校庭に出た。
「ハァ・・」
『〜♪』
「メールか・・」
『ばれちゃったな。ごめん。先生のせいだ。これからもこんな事があるかもしれない・・それでも・・雪はいいのか?』
 先生は仕事中だから・・メールしないほうがいい気がしたけど・・先生が返事を待っている気がしたから返事を送った。
『それでも、燐がいいよ』
『雪は2週間あるだろ?その間に・・会えるな』
『確かに、学校なんてなければいいのに』
『そこまでいうな』
『ハーイ』
『学校では・・あくまでも先生と生徒だからな』
「分かってるって」

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