《MUMEI》
遠くに
 3日後―。
「なぁ・・雪・・・」
「ん?」
「遠くにいこうよ」
「はぁ??」
「逢いたい・・・・逢いたい・・・・」
「どうしたの??甘えたさん」
「もう、三日も逢ってないんだから・・」
「うん・・でも・・逢ったら・・ばれちゃう・・」
「遠くに行けば・・平気だよ・・・・」
「でもっ・・・」
「俺のこと・・嫌いになった??」
「なってないよ・・」
「だったら・・・」
「でも・・・私は生徒で・・燐は先生で・・」
「そんな事どうでもいいんだよっ」
「何言ってるのっ!!先生っ・・・・」
「ごめん・・・俺どうかしてた・・」
「先生っ・・・・」
「ごめんな・・・雪」
「何で?」
「何もしてやれない・・」
「そんなことないよ」
「そばにいたいけど・・雪のそばにいることさえできない・・」
「でも・・・」
「ごめん・・ばいばい」
「先生」
 テレビ電話が切れた。
「先生・・・せんせい」

「〜♪」
「メール・・?先生からかな・・」
『死ね』
『ブス』
 そんなメールがたくさんあった。
『http・・・・』
 学校裏サイトのアドレスもきた。


『あいつ・・城山先生と付き合ってんの?』
『先生と生徒だよ・・やばくね??』
『退学しろよ〜』
『きもくね』
『今、2人とも休まされてるから・・その間にどっか遊びに行ったりして〜』
『うわ〜マジキモイ』

「これ・・・・学校の生徒が書いたって事・・?先生・・どうしよ・・学校行きたくないよ・・」


 先生の声が聞きたくて・・携帯に電話をした。

「何・・?」
「先生・・せんせぃ・・・・」
「雪・・泣いてるのか・・?」
「・・せ・・ん・・せぃ・・遠くに・・・いきた・・い」
「雪?どうした?」
「先生・・・怖いよ・・学校行きたくないよ」
「分かったから・・・」
「先生に・・逢いたい」
「今から・・OO町に行って・・」
「ぅん」
「その間・・ずっと・・電話してるんだぞ??」
「分かってる・・」
 外で夜の7時ごろ、女中学生がとぼとぼ歩いてたら危ないから、ケータイのテレビ電話機能でずっと話していれば・・。
「燐・・・・・」
 外だから・・声を出さないように・・画面をただ見つめていた。

 電車に揺られている。いっぱい人がいるから・・大変だ・・。電車の中だけは携帯を切った。


 隣の町までは電車で1時間くらいかかる。


「○○駅〜○○駅でございます」

 駅のホームに先生がいた。
「先生っ・・」
大きな声で言ってしまったため・・やばいと思ったけど・・ホームのざわざわした声にかき消された。
「雪っ・・」
 先生が大きな手で雪を抱きしめた。
「先生・・・・怖かったの・・・」
「どうした・・・?話聞いてやるから・・」

 普通のホテルに入る。

「でっ・・どうした?」
「あのね・・あのね・・これ見て・・・」
「何だ・・これっ・・」
 携帯のメールを見せた。
「先生・・」
「これ誰だかわかんないんだよな」
「うん」
「そうだなぁ・・」
「あと・・学校裏サイトのことなんだけど」
「学校裏サイト?」
「これ・・・」
「城山燐と目黒雪についてのスレって・・なんだよ・・」

 内容を見て・・先生は固まっていた。
 今、二人が一緒にいることさえ危険なのだ。
「やばいな・・」
「先生・・どうしよう・・」
「先生・・・辞めるから」
「え??今・・何て言った?」
「先生辞める」
「それって・・退職するって事?」
「そうだよ・・そうしたらいつでも会いにいけるよ・・」
「でもっ・・私・・先生の理科の授業好きだよ?」
「でも・・・仕事よりも・・雪を優先させたい・・」
「だめだよっ・・!!先生は・・先生何だから・・」
「でも・・・辞めれば・・一緒にいられるんだよ・・」
「先生と会いたいよ・・」
「会いたいな・・・」
「どうしたらいいの」
「わかんねぇ・・」
 先生はそういいながら・・雪を抱きしめた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫