《MUMEI》
苦しい心
「離れ離れになっちゃうんだぁ」
「しょうがないよ」
「でも・・この指輪があるもんね」
「そうだなぁ・・・」
 先生は空を見上げて・・とても悲しそうな顔をしていた。
「先生??」
「ごめんな・・」
 先生はすぐ笑顔になって、雪の頭をポンポン叩いた。
「痛いよっ!!」
「バーカ」
「ロリ」
「それ以上言うな」
「はぁい」


「今日、家に帰ろう」
「うんっ・・・・」
「学校がんばっていくんだぞ」
「まだまだ、休みだもん」
「そうだな」
「燐もだよね・・」
「そうだな」


 登校日―。

「いってきまーす」
 学校へ向かう。嫌な気分だなぁ。皆に何を言われるだろうか。

「おはよう」
 教室の扉を開けるとみんなの視線をくらった。その中に美佳も・・確かに美佳もいた。
「死ねよ」
「ドブス」
「マジきもいんですけど」
次々に言葉を発する。
 黒板に大きく、汚い文字で『目黒 雪は 汚れた女』と書かれていた。
 今すぐ、泣きたかった。でも、泣けなった。泣いても・・支えてくれる友達がいないのだから。
 
 黒板の文字を消そうと思って、黒板けしを探したら・・1つもなかった。

「バーカ」
 黒板けしは、全て隠されていた。
 しょうがないから、手で消した。チョークの粉が手についた。
「キーンコーンカーンコーン」
 チャイムが鳴ったため、チャイム着席しなきゃいけないので、座った。軽く手をはらったけど、チョークの粉は簡単には取れなかった。
 1時間目は理科だった。
「城山先生は、色々な事情があって休みです。その期間の間だけですが、理科の授業をやっていきます」
 皆、私のほうを見る。城山先生がこの学校から、いなくなったのは・・私のせいだからだ。
 授業中に紙が回ってきた。
「次にやれるのはお前だ」
と書かれていた。
 今すぐ・・燐に会いに行きたい。あの手で抱きしめてもらいたい。




「キーンコーンカーンコーン」
チャイムが鳴る。
 皆が雪の席の周りに群がる。
「3週間、何してたんだよ」
「やばくない?」
「マジ、こいつキモイ」
 雪の学生カバンをクラスの男子が奪う。
「ほらよ、返してあげるよ」
 弁当箱を開けて、机の上に落とす。
「あっ・・・弁当箱・・・」
 中身が机の上に散乱する。
「バーカ」
 ペットボトルのお茶を、雪の頭にかけた。
「やっ・・・・!」
「うわぁ、濡れてるし・・きもいじゃん」
「死ねよ」
 これから・・転校するまでずっとこれが続くのだろうか。

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