《MUMEI》
再会の日に
「雪・・・雪・・・・」
「ん?あっ・・・那美・・・」
「もう・・・・また寝てた・・・」
「眠いんだもん」
「授業聞かなくて大丈夫なの?」
「めんどくさいし」
 また・・燐の夢を見てた。幸せだった。どんな夢より幸せだったよ。
 先生・・・あなたの隣に誰がいるの??



『ポツン』
「雨・・・・」
『ザー』
 すごい勢いで雨が降ってきた。
 何も言わずに傘を差し出してくれた人がいた。
 顔を見た・・。そのとき・・息が止まりそうになったんだ。
「先生・・・・・・・」
 時間が止まった―。
「雪・・・・」
 いつもの優しい声で呼ぶ。でも・・・『雪』という言葉を懐かしい物のように先生は言ったんだ。
「先生・・・・」
 「あえて・・嬉しい」と言いたかったけど・・先生は・・私のコト・・もう好きじゃないんだよね・・。
「雪・・元気にしてたか?」
「はい」
「友達できたか」
「私・・小学生じゃないんだから・・・」
「安心した・・・雪が・・・心配だったから・・・・雪・・・寂しがりやだから・・・・・・・・・・まだ・・・泣いてるのかなって」
 「心配」ってどういうこと??先生だから・・心配してるの??それとも・・・彼女として??でも・・・先生が・・・別れを告げたんだよ??
「心配しないで、元気だから。もう、泣かないよ。もう・・ずっと・・前の事じゃない」
「そうだな」
 強気に振舞った。先生に・・もっと心配をかけてしまったら・・迷惑だから。先生が・・・大好きだから・・・もう・・・・これくらいしか・・・・できることがないよ。
「じゃあな・・・。傘は持ってけ・・・」
「えっ・・・でも」
「いいんだよ」
「ありがとうございます」
「じゃあな」
「さよなら・・・・」
 先生の背中を振り返りたくても・・振り返れなった。もし、振り返ることが出来たなら・・未来は・・変わってたかな?
私は、知らなかった。先生が・・私の背中を見つめて・・泣いていたことに―。

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