《MUMEI》 春目の前に居る燐が・・遠く感じた。 だって・・あなたには大切な人が居ると思ったから。 『俺、好きな人がいるから』 あの日、君はこういったよね? 今も、貴方のそばにその人はいるの? 「雪・・・あの時はごめん」 「えっ?」 燐が謝った。 「あれから・・もう・・何年も経ったな」 「うん」 「もう、俺の事なんか好きじゃないだろ」 「・・・・・・・・・」 「俺さ・・・・・・・・・・・」 「ん?」 「結婚するんだ」 「えっ・・・・・・・・・・」 燐が・・結婚? 「1年前に会ったんだけどさ、秋って言うんだ。秋・・俺のこと「好き」って言ってきてさ。俺は・・最初「忘れられない人がいるから」って断ったんだけど・・何度も「好き」っていうから・・だんだん秋のこと好きになってってさ・・」 「ねぇ・・・燐・・聞いてもいい?」 「ん?」 「・・・・・・忘れられない人って誰?」 「・・・・・・・俺の目の前に・・いる人」 「・・・・・・・・・・・・・私?」 「そう・・・」 「じゃあ・・なんで・・別れるなんていったの?」 「雪のためにならないと思ったからだよ。雪はあの時まだ・・中学一年生だっただろ?俺のせいであんないい年頃を奪ってしまったから。もう、これ以上・・雪に苦しい思いをさせたくなかったから」 「燐・・・・・・・・・・・私・・今でも・・・燐が好きだよッ!」 「・・・・・・・・・・え?」 「好きなんだよ!私だって忘れられないの・・・」 「ごめん。雪・・・・俺・・・結婚するって言っただろ。もう、雪も俺もあの時とは違うんだよ。もう、大人になったんだよ・・。いつまでも夢物語描いてなんかいれないよ」 「燐・・・・・」 「恋愛はタイミングっていうじゃん?俺と雪は会うタイミングが悪かっただけ。それ以上どうしようもない」 「タイミング?」 「そう。俺は結婚するし。雪はまだ若いんだから、これから色んな恋もするだろうし、色んな人に出会うよ・・その中で自分に合う人を見つけていけばいいんだから・・」 「燐・・でも私は・・・」 「もう、あの頃とは違うんだよ」 燐は背中を向けて歩いていった。 燐・・・・・・・・・燐・・・・・・・・・・何でだろうね・・・こんなに大好きなのに・・・・・・・・・・・思いは伝わらないんだろう? 大人になんて・・なりたくなかったよ。こんな事になるなら・・中学生に戻りたい。 「燐・・・・・・・・・・・・」 春―。 この学校に来て、二年目の春。燐と2度目の出逢いから、2度目の春。 貴方に恋をした・・季節になったね。 「目黒先生」 「なんですか?」 「第一理科室から、顕微鏡かしてもらってもいいですか?」 「いいですよ」 燐と同じ学校で働けるだけで幸せだけど・・・・・・・。 「目黒先生」 「はい・・」 この学校に新しく来た先生の歓迎会を今日やるらしい。 「皆でいきましょうよ」 「はい」 「はぁ・・・」 途中で気分が悪くなった私は帰ることにした。 「雪・・・・・」 「なんですか?」 「大丈夫か・・・」 「うん」 「家まで送っていくよ」 「別に・・・いいです」 「危ないから・・・・・・」 「ありがとうございます」 「燐・・アタシ・・燐が好き」 「何で・・・今更・・俺・・」 「恋はタイミングだよ?」 「なぁ・・・・・・・・・・・雪・・・・・・・・・」 「ん?」 「俺・・・実は雪が好きだった」 「本当に?」 「燐・・車・・・・・・・・」 「雪、危ない」 燐が前に出た・・・・・。 『キィー』 『ドン』 前へ |次へ |
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