《MUMEI》
「あ、聖ちゃん、俺飴ちゃん欲しい、買ってきて?」
「飴?さっき来たとき買えばよかったのに〜、もうしょうがないなあ〜」
ご機嫌な聖ちゃんはさっと立ち上がり売り子が行った方向に向かった。さっと扉を開け、隣の車両へと消える。
「……はぁ…」
「乗車券お願いします」
「はい」
「どちらまで?」
「白馬です」
車掌に切符を返され、俺は胸ポケットへと戻した。
「あら!あの子弟さん?」
「へっ!?」
いきなり斜め向かいに座るおばさんに話かけられた。
「お友達同士にしちゃー年が離れてると思ったのよ〜!いとこなの、そう〜」
「は、はあ…、まあ…」
聖ちゃんに内緒で聖ちゃんの切符、実は子供料金で購入したのだ。
つまり。
小学生にしてしまった。
今このおばさんにそれを見られてしまった訳で…
マジ、最悪だ……。
「はい、買ってきたよ?」
天使の笑顔で俺にメントスを渡すと聖ちゃんは座った。
「ありがとう、この葡萄味、結構美味しいよね」
「フフッ、俺貢がこれが1番好きなの知っててこれにしたの、葡萄味だと他のときより減るの早いもんね?」
「…聖ちゃん」
嬉しい、マジで嬉しい。
俺の事ちゃんと見てくれてるんだ。俺メントスならなんでも好きだけど葡萄が1番好きだったなんてたった今気がついたよ。
「あら〜、僕はお兄さんがよっぽど好きなのね〜?仲良くて本当にほほえましいわ」
……僕、。
おい!ババア!!
「………はい」
聖ちゃんはなぜか頬を赤らめながら俯いてしまった。
「よし!おばちゃんが僕にイイモノあげる!」
おばさんはでっかいバッグからごそごそと漁り取り出したもの……。
それは……
ムシ〇ングのカードだった……。
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ
携帯小説の
(C)無銘文庫