《MUMEI》

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半年前…



兼松は関越道を北上する乗用車を一人で運転していた。



『なんでこんな事になったんだ…?』



彼は悲壮感漂う形相を浮かべ、誰も居ない車内で独り呟いた…。



助手席には彼が唯一信頼を置けるものが鎮座している…。



それは悠に億を超える"現金"が詰め込まれたバッグだった…。



兼松は、このとき追い詰められていた…。



何に追い詰められていたかと問えば、話は更に半年遡る…。



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