《MUMEI》

「…何で今更…」


《ん?》


今更…そんな事言うんだ


『絶対櫻を人間にしろ』


『それが、櫻の為だ』


お前が


櫻の親父のお前がそう言えば


俺は、こんなに迷わないのに


《我は、櫻が愛しい》


そう言う桜花の顔は


確かに、父親の顔


《しかし、櫻の幸せが何かはよくわからぬ

我は人では無い

まぁ、櫻も半分はそうだが…》


そこで、俺は初めて気付く


自分が、櫻の幸せを考えていない事に


最低だ、俺


どっちが、櫻の幸せかなんて


ちょっと考えればわかる


ずっと変わらぬ姿で


ずっと、父親と二人きりの世界


そんなの…


櫻の幸せじゃない


櫻はそんなの望まない


俺は、櫻の


俺の話を楽しそうに聞いていた時の


眩しい笑顔を思い浮かべた

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