《MUMEI》

「一つ訊きたい」


《まだあるのか?》


「これで最後だ」


これが、ある意味一番重要だ


「人間として生まれ変わった櫻は、また男を狂わせないか?」


また男を惹き付け


傷付く事は無いのだろうか?


俺はそれが心配だった


《それは無い》


良かっ…


《人間となった櫻には、櫻を守り、愛する男が出来るから、大丈夫だ》


「何だと!?」


櫻を守る?


愛する?


《それに、櫻もその男を愛する》


…櫻、も?


《だから、案ずるな、百番目》

「無理だ」

《残り時間は僅かだ》

「…は?」


待て


《いくら力があっても、これ以上はお前の体が持たない》


待て、待て、待て


《決断しろ、百番目》

「待ってくれ! 俺は、まだ…」


まだ、何も

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