《MUMEI》
土曜日
遂に待ちに待った土曜日がやって来た。


「バットよし!

ボールよし!

携帯よし!

バナナよし!

チョコバナナよし!」


あ、豪田の分忘れてた。


俺は慌てて豪田の分のバナナを詰め込んだ。


「ふぅ〜。」


こうでもしないと忘れてしまうから大変だ。


俺はスポーツバックを持って、
自分の部屋を出てリビングへ向かった。


「あれ?

母さん起きてたんだ。」


「えぇ。

蓮翔のお弁当作ろうと思ってね。」


「おぉ!

サンキュー!!

母さんの弁当なんて久し振りじゃん。」


「そういえば、そうね。

ごめんなさいね。」


「え?

何で謝るんだよ?」


「ここ最近、ずっとお父さんに付きっきりだったでしょ?」


「なんだそんなことか。

いいよ、全然気にしてないから。

でもそんなに親父の病気悪いのか?」


「………。」


まさかと思った。


「もしかして、相当ヤバい病気?」


「………。」

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