《MUMEI》

「あんがとな、何か──楽になった」

「そか、良かった」

宮上は

アタシの頭をポンッと叩いて

教室に戻ろうとする。

「宮上」

「ん?」

「‥ぃゃ、やっぱり何でもない」

俯いてアタシが言ったら

宮上は笑って──

「ほな、またな」

軽い足取りで歩いて行った。

「───────」

アタシは暫く

宮上が歩いてった方を見つめてボーッとしてた。

「ぁ‥っ、珠季」

「千代‥?」

「ここにいたんだ‥良かったぁ‥」

千代は安心したみたいに笑って

アタシの手を握った。

「戻ろう? 授業始まるよ」

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