《MUMEI》
枕元で
「あと何分ある?」

「ん…−−−、5分、かな……」

裕斗の胸に顔を埋め俺は静かに余韻に浸って。


そして裕斗は俺の髪を指先で遊びながら俺を緩く抱き寄せていた。







「しちゃったな…」
思わずそう言うと
「うん、しちゃったねー…」

と、ちょっと明るい口調でそう返された。





「惇てさ、ちょっと仲良くなった頃さ、結構面白かったっつーか…、俺よりギャグ多かったじゃん?
あれって素だったん?それとも無理してたん?」


「……はは、あの頃ね…、





無理してたかな?



だって……」


「だって?」



「裕斗の事ちょっとイイなって思ってたから?……だから、
裕斗にたまたま冗談言ったらスゲーウケてくれたから、頑張って面白い事言ってたんだよ」


「…なんだ、なんかさ…、言えよ、最初から…」

俺を抱く力が少し増して


「……俺本当は全然冗談言えねーしつまんねーし、なのに裕斗はずっとダチでいてくれたじゃん?
なんか、素の俺でも受けいれてくれるっつーか…、



ありがとな……」




「ばかか、惇は全然つまんなくねーよ、つかむしろ面白いし!、ちょっといじるだけでむきになってめっちゃウケる」

俺は勢い良く起きあがり裕斗の頭から枕を抜いた。

「くらえ!」

「ぶっ!」
綺麗な顔におもいきり叩きつける。

「こら!何すんだテメー!」
裕斗も起きあがり俺の頭に枕でがっつり叩き返してきた。

「ハハッ、裕斗だって会った頃は借りてきた猫だったのになあ!おっとなしくて控えめでさ!何なんだよ!慣れてくるとただのエロ芸人じゃんか!いっつも下ネタばっかでマジな話ぜんっぜんしねーで!いい加減!すぼら!美白!バカハーフ!」

「うるせー!ちびっこ!ガリガリ君!神経質!お前の母ちゃんデベソ!!」

「か!母ちゃんは関係ねーだろっ!
このヤロ〜ッ!!」

交互に枕で殴り合って、こんなこと言いながらも俺達は笑っていて。


気がついたら自然にダチに戻っていた。




胸の中が、なんだか軽くなった。

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