《MUMEI》

悪夢のような現実は、それだけではありませんでした


『櫻、櫻…』


…これは、何?


無傷で帰って行った今までの


蒼様以外の方々


『一体どうしたの?』


すがりつく家族を、恋人?を振り払い


『櫻、櫻…』


虚な目で私の名前を呼び続け


『お願い!正気に戻って!』


『櫻、櫻… …』





『お願い、最期に…最期だけでも、こっちを…

私を、見て…』


泣き叫ぶ女性はきっと


男性を愛していたと思います


少なくとも、私よりは


それなのに


男性が、最期に呼んだのは


『さ、く…ら』


私の、名前…





ごめんなさい


ごめんなさい、ごめんなさい


ゴメンナサイ

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