《MUMEI》

「櫻はもう動くんだよな!?」

《の、はずだ》


しかし、当の櫻は


俺や桜花を見ようともせず


ただ、固まっていた。


「おい、櫻!」


呼びかけても、こっちを見ようとしない。


時間が無いのに


もう、櫻の髪は半分桜色だった。


「こっちを見ろ! 俺の声を聞け! 櫻!」


櫻の体は震えたが


やはり、俺を見ない。


クソッ!


俺はちゃんとお前の顔を見て言いたいんだよ!


お前が


お前が…


櫻が


好きだって!


初めてなんだ


本当は俺が幸せにしてやりたい


誰にも渡したくない


でも…


櫻には、人間の世界で


幸せに


笑って欲しいんだ!


こんなとこにいたら


過去に縛られたままなら


辛い…だけだから


だから、頼むから今は逃げないでくれ


俺は


意を決して


櫻を抱きしめた

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