《MUMEI》

今回の現場は道路。


見通しの悪いカーブでひき逃げされちゃった女の子


その子がいるお陰で、そのカーブでは不自然な事故が多発していた。


奇跡的に死者は出ていないが、時間の問題だった。


現場に着くと、先生はいつも通り、霊相手に会話を始めた。


ちなみに、邪魔したらキレるから、俺は依頼人と待機中。


それから、いつも通り、依頼人と血まみれ霊を対面させて、嫌味たらしく事情説明。


女の子は犯人の顔をしっかり覚えていたから逮捕も時間の問題だろう。


…さて、いよいよあの時間かな


「山田」

「はい」


今日はどっちフィルターですか?


すると、先生は信じられない事に


「結界。第一段階」


と、言った。


「…え?」


俺は固まってしまった。

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