《MUMEI》

保健室から

逃げるように教室に戻って来た。

「はぁ‥疲れた」

「お疲れ様〜」

「ぁ、千代。あんがとな、誤魔化してくれて」

「お安いご用だよ」

千代はそう言って

カバンを手渡してくれた。

「どうだった? 綾瀬君と」

「‥!?」

何でいきなりそんな事‥。

「別に‥ただちょっと話したりしてただけ」

「ふふ、良かったね」

「──ぇ」

「良かった。珠季──やっと元気になったみたい」

「ぁ‥」

そっか‥。

千代はアタシが元気なかったから‥

だからアイツと2人きりになれるようにしてくれたんだ。

「あんがとな」

そう言ったら

千代はニッコリ笑ってくれた。

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