《MUMEI》
虐め【5】
「長居しちゃってごめ
んね。じゃあまた明
日。」

 飛夏羽は鞄を持って
立ち上がった。

「気をつけてね。」
「ありがとう。直ぐ其
処だから大丈夫だ
よ。」

 飛夏羽は笑顔を見
せ、優都の家を出た。

 少し歩き、途中で立
ち止まって飛夏羽は顔
を赤らめながら微笑ん
だ。

「…優都の気持ちと…
私の気持ちが繋がって
て…本当に良かった。
これからも傍に居させ
てね、優都。」

 飛夏羽は優都への想
いを胸に秘め、一生一
緒に居られる様にと
願った。

 そして、歩き出そう
とすると、飛夏羽の後
ろには数人の男子が集
まっていて、一人の男
子が飛夏羽の口を塞い
だ。

「んっ!…うっ…」

 飛夏羽は声を出せず
に、もがいていたが、
身動きがとれず、その
まま引き摺られるよう
にして連れて行かれ
た。

 この時優都は、部屋
の片づけをしていた。

 ふと、部屋の端に目
を遣ると、白い携帯が
落ちている事に気が付
いた。

「…これ…飛夏羽の携
帯…無いと不便だよ
ね。」

 優都は飛夏羽の携帯
をポケットに入れ、家
を出た。

 飛夏羽の家の手前ま
で来て、優都は鞄が落
ちているのを見つけ
た。
鞄の右端には、自分の高校のログが刺繍され
ていた。

「…まさか…飛夏羽
の?飛夏羽に何かあっ
たんじゃ…」

 優都は急いで飛夏羽
を捜しに行った。

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫