《MUMEI》 少し肌寒く感じる風を切りながらジョギングしていくと、 見覚えのある背中を見つけた。 「賢ちゃん……。」 俺の呟きが聞こえたようだ。 賢ちゃんは弾かれたように振り向いた。 「……なんや。」 やっぱり……まだ怒ってる。 俺は咄嗟に何か話題がないか考えた。 「用無いんやったら行くぞ。」 「ちょっと待って!」 「……なんや。」 「明日のことなんだけど……。」 「明日?」 「う、うん。 明日颯ちゃんの試合があるんだ。」 「へぇー……。 で?」 「で?……て、前賢ちゃん言ってたじゃないか。」 「何て?」 「颯ちゃんの試合行くって……。」 「前の話やん。」 「行かないの?」 「ああ。」 「……どうしても?」 すると突然賢ちゃんは走るのを止めて、 俺の胸ぐらを掴んだ。 前へ |次へ |
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