《MUMEI》
真実を教えて【3】
 翌日、飛夏羽は
ジャージに着替える
と、何も持たずに学校
へ行った。

 通学中、飛夏羽は後
ろから少女に声を掛け
られた。

「飛夏羽、おっはよ
〜!」

 この少女は飛夏羽の
親友の渡葉 李麻であ
る。
李麻はいつも明るく、
飛夏羽達の理解者でも
あった。

「…おはよう…李
麻。」
「おはよっ。…元気な
いねぇ?如何した
の?」

 李麻は飛夏羽をクリ
ンとした目で見つめ
た。

「…あのね、優都がい
じめられてた理由…昨
日…分かったの。」
「…えっ?」

 李麻の顔から笑顔が
消えた。

 それを見て飛夏羽は
李麻の顔色を伺った。

「…李麻?如何した
の?」
「…ごめん飛夏羽…そ
れ…うち等知ってたん
だ…」

 その言葉を聞いた瞬
間、飛夏羽の目からは
また、涙が溢れ出し
た。

「あ、飛夏羽?」

 李麻は驚いて、飛夏
羽の顔を見た。

「…じゃあ…知ってた
んだね…私のせい
だ…って…」

 飛夏羽は無理矢理涙
を拭い、学校の反対方
向へ走っていった。

「待って!飛夏羽!」

 李麻は飛夏羽を追い
かけて行った。

 飛夏羽は思い出の公
園に着くと、ベンチに
座り、顔を手で覆って
泣き出した。

 皆が知っていた…そ
う思うと飛夏羽は余
計、自分を責め込ん
だ。

「…最低だよ…私…」

 李麻が無言でゆっく
りと飛夏羽の許へと来
た。

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