《MUMEI》
真実を教えて【4】
「…飛夏羽…ごめん
ね。知ってたのに…何
も言えなくて…優都が
苛められてたのも…飛
夏羽が無理矢理笑って
たのも…全部…知って
たのに…」
李麻は飛夏羽の横に
来て、泣きそうな顔を
していた。
「…良いよ。李麻達の
せいじゃないもん…私
が全部悪いの…」
「そんな事…」
「違うよ!」
李麻が否定しようと
したところで、飛夏羽
が口を挟んだ。
飛夏羽の目からは次
々と涙が溢れ出してき
ていた。
「…皆のせいじゃない
よ…私が…私がっ…」
キーンコーン…と、
学校のチャイムが鳴っ
ていた。
飛夏羽は涙を拭いて
立ち上がり、李麻の前
に手を差し出した。
「行こう。遅れちゃう
よ。」
「…うん…」
李麻は飛夏羽の手を
借り、立ち上がった。
「ごめんね、私のせい
で…嫌な思いさせ
ちゃって。」
「ううん。飛夏羽は悪
くないよ。悪いのは…
あ…」
李麻は何か言い掛け
て急に無言になった。
「…李麻?如何した
の?」
「…もしかしたら…っ
てそれより、飛夏羽そ
の格好!」
「…え?」
飛夏羽は自分の格好
を見て、黙り込んだ。
「…如何したの?飛夏
羽がジャージで来るな
んて…」
飛夏羽は重たい表情
をしながら、ゆっくり
と口を開いた。
「…榊君たちに…制
服…ボロボロにされ
て…」
飛夏羽の言葉を聞い
た李麻は、心の中が怒
りでいっぱいになっ
た。
「何でそんな事…」
「良いよ!今度は李麻
が遣られちゃう!…私
だけで…十分だよ…」
講義しようと考えて
いる李麻を、飛夏羽は
止めた。
自分だけで十分だっ
た、不幸になるのは…
そう心に言い聞かせ、
飛夏羽と李麻は学校へ
走っていった。
飛夏羽と李麻は、息
を切らしながら教室に
入り、自分の席へと
座った。
何とか遅刻せずに済
んだらしい。
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