《MUMEI》
真実を教えて【6】
「り、李麻?急に如何
したの?」

 飛夏羽は焦りながら
李麻を見つめた。

「ごめん…うちだって
助けられなかったけど
さ…でも二人とも友達
なんでしょ?…何でな
の?それどころか普通
に見てたよね?」

 次々来る李麻の問い
に答えられず、純と零
は黙り込んでしまっ
た。

 しばらくしてから口
を開いたのは零だっ
た。

「だってあいつ等…や
らないんだったら見て
ろって…」
「そうだよ…そんなの
に抵抗出来る訳…」

 零に続いて、純も答
えた。

「それだからって助け
ないの?そんなの可笑
しいよ!だって…」
「止めて!」

 李麻が言おうとした
ところを、飛夏羽が止
めた。

 全員が飛夏羽の声に
驚き、飛夏羽を見た。

 飛夏羽は目に涙を浮
かべながら三人に話し
た。

「橘君も…緒方君も悪
くないよ。私が全部悪
かったの…だって知っ
てたんでしょ?私のせ
いで…優都が苛められ
てたって。」
「!?」

 優都は、階段の途中
で立ち止まった。

 この四人を追いかけ
てきた優都は、話を全
て聞いてしまったの
だった。

「だから…誰も悪くな
い…悪いのは…私だ
よ…」

 飛夏羽は床に泣き崩
れた。

「…飛夏羽…ごめ
ん…」

 李麻は謝りながら飛
夏羽の震える肩を抱い
た。

「…そんな…まさ
か…」

 優都は飛夏羽達の話
を聞いて、体全体が震
え出した。
止めようとしても止ま
らない、その体を一生
懸命抑えようとしてい
た。

 震えながら手すりに
掴まろうとして、優都
は誰かに引っ張られ
た。

「うわっ!?」

ドサッ!

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