《MUMEI》

道風会に情報を漏らした"蟻の一穴"…



それは、出資者の信用を得る為の現地視察ツアーで雇った、フィリピン人通訳の男による諸行だった。



ツアー中、プラントで働く労働者と出資者の会話を、詐欺グループに都合の良いように誘導させるため、通訳には通常の何倍もの報酬を掴ませていた。



ところがその通訳は後日、道風会の拳銃試射ツアーにも同行していた。



通訳だった男は、そこで詐欺グループの情報を金と引き換えにリークしたのだ…。



これが誰の知る由も無い、事の真相だった…。



金で人の心は縛れない…



金の切れ目は縁の切れ目…



貧困にあえぐ国では、金にまつわるそんな諺が、あたかも正義のようにまかり通るものだ…。



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