《MUMEI》 「無理だよ〜。 颯ちゃん……。」 「何弱気になってんだよ! ほら、行くぞ。」 その日の夜。 お互いの練習を終えた俺達は、 全国でも有名な、 大きなスタジアムに来ていた。 何しろ颯ちゃんはやると言ったら即行動へ移す派。 戸惑う俺をよそに、 堂々と入口に向かって行った。 「おぉ! 警備員いないぞ!!」 興奮気味の颯ちゃんに、 俺は素直に喜べなかった。 だってこんなことが父さんに見つかったらと思うと………。 恐ろしくて、 想像するだけで背筋が凍る。 「そんなにビクビクすんなよ。」 「だって……。」 「大丈夫だって言っただろ?」 「うん。 でも……。」 「ちょっとは俺のこと信じてくれよな!」 「う、うん。」 俺はようやく腹をくくって頷いた。 颯ちゃんはそれを見届けると、 「っしゃ! 行くぜ!!」 入口へと入って行った。 前へ |次へ |
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