《MUMEI》
変わらぬ櫻[桜花視点]
あれから


あの、百番目の男を帰してから


目の前にいる、娘


我と同じ、人外の存在になった娘は


櫻は


何も、変わっていなかった


我は、櫻の望みを叶えた


組み敷かれるのを拒む櫻の為に、『アキトサマ』を殺した


我が、櫻の為に呼んだ男共も


櫻が望んだから、帰した


櫻が望んだから


過去も見せた


櫻が百番目を拒んだから


百番目を帰した


我は、嘘はつかない


嘘は、つけない


そういう、存在


だから、あの、百番目の質問にも正直に答えた


だから


今の、この状況が…


わからなかった


…何故だ?


何故、櫻は、ずっと…


泣いている?


《…何故、泣く?》

「す、すみま…」

《謝るな》


謝罪が欲しいのではない


幸せになって欲しいだけだ


それなのに


いつまでも、いつまでも


櫻の涙は止まらなかった


我は…


どうすれば、いい?


《教えてくれ、櫻》

「…っ…」

《何故、泣く?》

《何が、そんなに悲しい?》


我は人ではないから


言葉にしてくれなければ


ワカラナイ、のに

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