《MUMEI》

「綾瀬君を選ぶのも、宮上君を選ぶのも、珠季の自由なんだから──」

「‥アタシは‥アイツを好きなはずなんだ。メガネの事が‥。なのに‥宮上の事も考えちまってる‥。おかしいよアタシ‥」

「珠季‥」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「やはりいたね、そこに」

「っ!」

メガネ‥っ。

「授業が始まるぞ」

「‥‥‥‥‥‥‥」

黙ってると‥

ソイツは近付いて来て
アタシの手首を掴んだ。

「戻──」

「放せよッ」

乱暴に振り払った手。

メガネは険しい表情をしてる。

「‥なら、好きにすればいい」

そう言って‥

メガネはアタシに背中を向けた。

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