《MUMEI》
俺が全部受け止めてやるから【3】
急いで駆け込んでき
た二人を見て、李麻達
は驚いていた。
「二人とも!今まで何
所行ってたの!?」
李麻が心配そうな顔
をして飛夏羽と優都に
寄って来た。
飛夏羽は呼吸を整え
るとこれまでにあった
事を全て李麻達に話し
た。
体育館倉庫に閉じ込め
られて居た事、そし
て、優都が暴力を振る
われていた事も、全て
を打ち明けた。
「やっぱりそうだった
のかよ!」
零は飛夏羽の話を聞
いて、頭に血が上り机
を殴った。
「でも、二人が無事で
良かったよ。」
純は零を抑える様に
して言った。
その時、ガラッ!と
音がして、全員がドア
を見た。
其処には翔太率いる
メンバーが立ってい
た。
翔太は自分達を睨む
優都たちを見て驚い
た。
「どうやって抜け出し
たんだよ?」
翔太は負けずに優都
達を睨み返して言っ
た。
「ま、普通に抜け出さ
ないで黙ってるとは思
わないけどな。」
翔太は不気味な笑み
を浮かべながら飛夏羽
に近づいた。
「な、何?」
「俺達の所来いよ。」
「やだよ!放して!」
翔太は嫌がる飛夏羽
の腕を掴み、連れて行
こうとした。
その時、優都の頭の
中では飛夏羽の泣き顔
が描かれ、優都は翔太
を睨み、叫んだ。
「待てよ!俺が…タイ
マンはってやるよ!」
全員の動きが一瞬止
まり、動き出したかと
思うと全員が優都を見
て同時に叫んだ。
「はぁ!?」
「…優都?」
思いも寄らない所で
急に出た優都の言葉を
聞き、飛夏羽は優都を
見つめた。
優都は本気だった。
本気で飛夏羽を守りた
い、そう思ったのだろ
う。
優都は飛夏羽と目が
合うと優しく微笑んで
飛夏羽にしか聞こえな
いようにそっと呟い
た。
『大丈夫。』
と…
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