《MUMEI》

遠ざかってくソイツを‥

アタシは

ただ見つめるしかなかった。

いっぺんでいい。

一瞬でいい。

振り向いて欲しい‥

そう思いながら。

でも‥

メガネは振り向いてくれなかった。

扉を開けて‥

行っちまった。

「───────」

何で‥

振り払ったんだろう。

何で‥

あんな態度取っちまったんだろう。

掴まれてた手首が熱い。

強がってる心が痛い。

「っ‥」

泣きそうになる。

「‥‥‥‥‥‥‥」

拳を握り締めて

俯いた。

雫が零れて‥

コンクリの床を濡らした。

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