《MUMEI》 「ここか──3丁目」 「あんがとな、じゃあアタシは──」 傘から出ようとして 今度は肩を掴まれた。 「な‥何だよ」 「家まで送って行くに決まっているだろう」 「いーよ、もうこっからなら走って──」 でも 掴まれた手を振り払えない。 「‥‥‥‥‥‥‥」 「何処だい、家」 「‥4つ目の十字路を右に曲がって左側の6番目」 「了解」 メガネは アタシの肩から やっと手を放して‥ また歩き出した。 アタシは遅れないように ピッタリ横について 早足で歩く。 「オイ」 「‥?」 「もうちょっとゆっくり歩けよ‥」 「これでも君に合わせているつもりなんだけどな」 「‥‥‥‥‥‥‥」 だとしても‥ アタシには速ぇよ‥。 前へ |次へ |
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