《MUMEI》 「アイツ等のとこ行って、 止めるように言うんだ!」 「無理に決まってるじゃないか!」 「何でだよ!」 「冷静になってみなよ! 僕達だけで、 何人いるか分からない相手に挑むんだよ?」 「それでもやって見ないと分かんねぇだろ?」 「無理だよ。」 その時突然誰かの声が聞こえたんだ。 二人して振り返ると、 俺達と同じくらいの背丈をした少年が立っていた。 短い髪を逆立てて、 印象に残るぐらいの大きくて丸い真っ黒な瞳は、 今にも吸い込まれそうだ。 同じ背丈の割りには丈夫そうな体型をしていて、 足は、 誰が見ても良く鍛えられていると伺えた。 テレビや新聞で見るより、 格段にかっこよかった。 「凪谷賢史……!?」 沈黙のあと、 二人の驚いた声が薄暗い通路で木霊した。 前へ |次へ |
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