《MUMEI》

《櫻は、傷付けた者共に遠慮して、蒼を拒んだのだな?》

「は…い」


それは


後ろめたさは


まだ、私に残っていました。


《我も櫻のせいで力を失った》


桜花様はそうおっしゃって、蒼様から離れ


小さな桜の苗木によりかかりました。


「申し訳ありません」


私は桜花様の前にひざまずきました。


《本当にそう思うなら、我の世話をしろ。我の力が戻るその時まで》

「…え?」


私は確かに、桜花様の


桜の木の世話は出来ます


それは


今まで桜花様が連れてきた方々の中に


やはり桜に詳しい方がいたからです


名前も顔も覚えていないけれど


その方の話は興味深く


私の心に残っていました。


《できるな?》

「は…」

「無理だろう」


…え?


頷こうとした私に寄り添い、蒼様は桜花様に向かい、もう一度


「無理だ」


とおっしゃいました。


…どうして?

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