《MUMEI》

『ええ…しかし…

…そんな3千万なんて金は…

…幾らなんでも…』



実松は青ざめた顔で客人にすがるも…



『金額なんぞ問題じゃねえ!』



藤城は実松の懇願を遮り、荒々しくテーブルを蹴り上げた!



硝子の灰皿が床に落ちて砕け散ると、実松は縮み上がった。



『いいか?…お前らの魂胆にウチが気付いてやらなかったら…

…お前らはどうなってたと思う?』



実松の額に汗が滲む…。



『ウチの金を持ち逃げする………

…その意味は判るな?』



藤城は実松の顔の目前で煙草の火種をチラつかせる…。



『………はい…。』



実松には、そう返事するほか選択肢は無かった。

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