《MUMEI》

《櫻だけでは無理だ》


…私、『だけ』?


「言っとくが、俺も無理だから」


…ですよね


蒼様はまた呆れていました。


恥ずかしい


《だから、子供に、孫に…託せばいい。

そうして、櫻の子孫が我を世話すれば、それでいい。

千年の時を、我はそうして過ごしたい。


…頼めるか?》


「余裕」

「蒼様!?」


何故そこで蒼様がお返事を?


それに、呆れ顔から笑顔に変わってますし


《だろうな》


桜花様も笑顔ですが…


「どういう、意味ですか?」


私にはさっぱりです


「とにかく、幸せになれって事だろ?」

《末永くな》


…よく、わかりません


《櫻が幸せな事が、我を幸せにする》

「俺もな」

「そうなんですか?」


《だから、幸せになれ。約束だぞ》


桜花様は、小さくなった両手で私の小指を掴みました。


「安心しろ。俺が幸せにしてやるから」


蒼様は、赤くなる私をもう一度抱きしめました。

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