《MUMEI》

「いいや、違うよ」

「‥なら‥何でだよ」

アタシが訊いた事には答えないで‥

メガネはフェンスに近付く。

「オイ、シカトすんなよ」

でも

メガネは答えない。

「っ‥」

ムカついて

もういっぺん言おうとした時──。

風が吹いて‥

「‥ぇ」

空に

鶴が舞った。

糸から放たれた‥

千羽の折り鶴──。

「‥オマエ‥」

「綺麗だろう?」

振り向いたソイツは‥

満足げに笑ってた。

「少しは──気分が晴れたかい」

「ぇ‥?」

ポカンとして立ち尽くしてると‥

メガネはアタシのカバンを開けた。

「おいッてめ‥」

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