《MUMEI》

メガネは

またアタシを無視して‥

カバンに手を入れた。

「おいッ‥勝手に触んなっ」

「これも飛ばしていいだろう」

「は‥?」

それも飛ばすつもりなのかよ‥。

「やるかい?」

「アタシが‥?」

やってやってもいーけど‥。

「返せよ、ほら」

ちょっと乱暴にひったくって

アタシは折り鶴を空に放った。

「───────」

風が

それを運んでく。

「さぁて、次は何で勝負してやろっかな──」

「自信があるものにした方がいいよ」

「ふんっ、うるせぇよ。次こそ絶対勝つんだからな、アタシが」

「どうかな。あまり高望みはしない方が無難だと思うけど」

「アタシは、負けず嫌いなんだよ」

「──奇遇だな、僕もだ」

そう言ったメガネは──

ちょっとだけ笑ってた。

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