《MUMEI》

学校から帰ると隣の家の前にあの女の子がしゃがみこんでいた。


「どうした?家の中入んないのか。」

俺がいきなり話しかけたせいで女の子はビクッと体を震わせた。

「あっ‥‥わり。」


「いえ‥‥。」


初めて聴く、その子の声は透き通った綺麗な声。



「家に‥‥」

女の子は口を開いた。



「ん?」

俺はしっかり聞こうと耳に集中した。


「‥家に‥‥帰りたく‥ない‥‥んです。」


その子は小さな声で確かに言った。



どうすればいいか全然分からなくて
困り果てた。



「家‥‥来る?」






‥‥おいおいちょっと待てよ!

何も考えられない頭の代わりに、
口が勝手に動いた。







「え?」


女の子は大きな目を更に大きく開けて、びっくりしているようだった。






ほらー!びっくりしてるよーー
お前が余計な事言うから!



俺は自分が口にしたことを後悔した。




しかし






女の子は意外な返事を返してきた。














「良いんですか?」











俺は自分の耳を疑った。




.

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