《MUMEI》 次の授業は数学。 メガネは またどっかに行っちまった。 アタシは机に突っ伏して‥ 泣くのを必死に堪えてた。 「‥珠季、綾瀬君‥あんな事言ってるけど‥でも本気でなんて言って‥」 「‥‥‥‥‥‥‥」 「珠──」 「‥ちょっと水飲みに行って来る」 「ぇ‥」 「すぐ来るから」 なるべく明るい声で行って 教室から出た。 水道で‥ 乱暴に顔を洗う。 鏡に映った自分の顔が‥ 何だか自分じゃないみたいで‥ 「‥‥‥‥‥‥‥」 変な気分がした。 「‥なぁ、アタシ‥」 何やってんだろ‥。 頬を両手で叩いて 気合いを入れてみる。 でも 泣きそうな顔は そのままだった。 前へ |次へ |
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