《MUMEI》
規格外サイズ
「それにしても、よくサイズがあったな」


着せかえが三着目になった頃には、俺はタメ口になっていた。


俺の身長は、去年より伸びて、今は172センチになっていた。


(女装は今年が限界だろうな…)


こんな着せかえも今年限りだと思うからこそ、我慢できた。


「母の知り合いに、長身の方がいらっしゃるので、お借りしました」

「何か、悪いね」


演劇部員でもない吉野にそこまでしてもらうのは、申し訳ない気がした。


(俺の意志じゃないけどさ…)


すると


吉野は、ピタリと手を止めた。


「…どうした?」


そして、吉野は


奇妙な質問を俺にし始めた。


(ん? これって…)


俺は以前


これと同じ質問を受けた。


(ま、ま、まさか…)


質問に答えながら、俺はある予想を立てたが


それは、普通ならあり得ない事だった。


…が


(嘘、だろ?)


赤くなった吉野を見て、俺は確信してしまった。

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