《MUMEI》

「この地区のハンドのレベルが高いのは、


この地区のハンドボールの大会がおもしろいからだ…って言ってた。」


「おもしろい?」


「あぁ。」


「…」


(話が見えない…。)


「この地区のハンドボールの大会がおもしろいのは…


大会をおもしろくするチームがいるからなんだと。」


「…?」


「この地区では、
伝統の一戦が毎年行われてる。」


「それは…
うちと秀皇だろ?」


「違う。」


「え?」


「確かにうちと秀皇の一戦は伝統に成りつつある。


だけど、


観客の中に、


その試合を楽しみにしてる奴はいない。


何でかわかるか?」


「…結果が見えてるから?」


「そう。


勝負の世界に絶対はないけど、


観客はどこかで思ってるんだ。


今年の優勝も聖龍だ…ってな。」


「うん。」


「毎年同じチームが優勝するのなんて、


別に珍しいことじゃない。


有りがちなことだよ。」


「はぁ…?」


「だけどこの地区には…
決勝以上に盛り上がる試合があるんだよ。」

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