《MUMEI》
微妙な関係
「不可抗力だけどな」


俺は苦笑した。


確かに自分でもトラブルに巻き込まれていると思うし


最近は、厳や頼やその花嫁候補の恋愛相談にのっている気がする。


(つーか、吉野とも今話してるし…)


不本意だが、守にそう言われても仕方ない状態だった。


(まぁ、いいか)


開き直って俺は話を続けた。


「守は美少女好きだし、彼女欲しがってるぞ?」


だから、告白すればいいのに


背比べの一番下の線はかなり低かった。


その頃から、二人は交流があるのだろう。


(ん? じゃあ、何で吉野は花嫁候補なんだ?)


その答えを、吉野はすぐに口にした。


「ダメですよ。守兄様にとって、私は幼なじみで妹なんです。

さりげなく告白しても、恋愛対象としては見てもらえないんです。

いい加減、諦めなくっちゃいけないんですけど」

「まだ、好きなんだ…な?」


俺の言葉に、吉野は無言で頷いた。


それから俺は吉野邸を後にした。


(特訓は、あと二回か)


その二回も、吉野が守の為に一生懸命やると思うと


何だか切なかった。

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