《MUMEI》

なづきはルナと以外に帰り道の方角が近いことに気が付いた。
降りるバス停まで同じ。


彼女に言わせてみればどうだっていいのですが。


どこまで同じ方角なんだろう、となづきはルナの背中を見つめながら考えた。

点々と電灯が道に連なっている。
夜になりかけた青紫の空を見た。
なづきは足を止め、
携帯を急いで鞄から出し、撮影する。
あまり画質が良くないので、よく分からない霞んだ暗い色が斑に映された。

「眼球に映された映像にシャッターが切れればいいのに。」
なづきは思ったことを口にしてみた。


「……だから記録しようとする?」
ルナが振り向いて話しかけてきた。
ご機嫌がよろしいようで、影で笑っていることが、わかった。

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