《MUMEI》 無念あきらは構えた。鋭い眼光で睨む。 コングは余裕の笑顔だ。 「ぐふふ。まさに無差別級。ちなみに僕は身長185センチ体重185キロ。普通身長と体重が同じ数字ってないよね」 あきらはポツリと呟いた。 「つまり鞠か?」 「言ったね?」コングが笑顔で歩み寄る。「もう許さないよん」 あきらは動かない。コングが両手を広げて不用意に突進。 「いただきまーす、ぎゃっ…」 鼻の真ん中にカウンターの右ストレートが入った。 コングは後退すると手を出した。 「たんま!」 「ふざけるな、何がたんまだ!」 あきらが行く。コングは逃げる。 「まだルールを決めていないではないか」 「ストリートファイトにルールなんかあるか」 あきらは両拳を構えてにじり寄る。 「ちょい待ち。ギブアップって言ったら攻撃をやめるってどう?」 あきらは無視して左ローキック。 「痛いね。じゃあ参ったなしのデスマッチ?」 「当たり前だ」 あきらは右ローキックから左ミドルキック! 「あきら姫。先に言うけど、気絶したら裸にして手足を縛り、起こしてからピストン運動しちゃうよん」 あきらは殺意の目。 「貴様、本気で言ってんのか?」 「無抵抗の状態でピストン運動されるのって無念でしょ?」 「そこまで言うなら再起不能にされても文句はないな?」 あきらは怒り心頭。踏み込んで左右のパンチ連打。しかしコングも拳をぶん回す。 大振りだが当たれば一発で終わる。あきらは慎重になった。 息づかいが荒くなる。コングはまだ笑顔だ。 「あきら姫。下着の色も黒?」 「黙れ!」 右ローキック。足を掴まれた。危ない。ジャンプして左の延髄斬り! 読まれていた。あっさりよけられ、あきらは背中から床に落ちる。 そこをすかさず全体重を浴びせたヒップドロップ! 交わした。 「NO!」 入ったら終わっていた。 あきらは汗まみれだ。コングはやる気満々。笑顔で迫ってくる。 左右の大振りフック。かいくぐりあきらが右アッパーを顎に炸裂! 「やったね?」 相当痛かったのか、コングの表情から笑顔が消えた。 凄い圧力で迫りながら壁に追い詰めると左右の大振りフック。 交わしながらあきらも左ミドルキックで応戦。さらに右ハイキックを狙う前に大振りフックが命中! 「あああ!」 頭に当たった。ダウンするあきらの上に乗ると、コングは上から情け容赦のないパンチの雨あられ。 あきらは顔をカバー。するとボディに来る。 「うぐ…」 まずい。 体重差があり過ぎてはねのけるのはきつい。 「どうするあきら姫ん?」 コングはあきらの両手首を掴んで押さえ込んだ。 「しまった!」 あきらは本気で慌てた。 「ぐふふふ」 コングは怪力を利してあきらの腕をクロスさせると、片手で押さえてしまった。 「まずい!」 あきらは背中に膝蹴り。しかしびくともしない。 「ぐはぐはぎひひい!」 あきらは両手首を押さえ込まれてしまったが、コングは一本腕が自由だ。 その岩のような拳をあきらの顔に当てる真似をした。 「どうするつもり、あきら姫ん?」 あきらは下から睨むしかなかった。 「行くよん」 岩の拳がボディに来る。 「あああ!」 あきらは真っ赤な顔をして腹筋に力を入れたが、どうにもならない。 「うぐぐぐ…」 無慈悲は本当だった。意識が半分飛ぶ。 「やめろ、やめろ…」 やめてくれない。 「わかった、やめて」 やめてくれない。 「参った、参った!」 コングは一旦攻撃をやめると、笑顔で言った。 「あれれ。参ったなしルールに変更したの、あきら姫だよん」 「でも、それ以上殴られたら死んでしまう」 「じゃ死ねばあ」 再びボディブロー連打! 「うぐ…」 (どうしよう…) どうにもならない。あきらは無念にも失神してしまった。 「ぐふふ。たぬき寝入りじゃないよね?」 コングは早速靴を脱がしにかかる。あきら万事休すか? 前へ |次へ |
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