《MUMEI》
「あ〜!いい天気っ!」
う〜んと腕を力いっぱい上に上げて伸びる聖ちゃん。
いやいや、どんなに高く上げても小さいものは小さいみたいな…。
一学期から二学期の終わりにかけてニミリしか伸びなかった聖。
本人はまだ伸びるつもりで牛乳を欠かさないが多分もう、打ち止めなんじゃないかと、俺は思う…。
だって、足のサイズ25センチじゃ…、ねえ?
陸さんはたまたま大きくなっただけで、聖ちゃんは当然の如く小さい感じ。おじさん、聖ちゃんより小さいしおばさんは多分145センチ位だろう。
ちなみに俺は12月の測定で184センチになっていた。
靴のサイズも28センチに変わって。
膝がたまに痛いしまだまだ伸びる気配だ…。
「あ!峠の釜飯だって!!ね〜あれあの有名な?」
聖ちゃんはめざとくロータリー近くで売っている弁当屋を指指した。
「はは、あれは本家じゃないよ、でも味は変わらないかな?お昼弁当にする?」
「うん!」
▽
弁当屋で釜飯を二つ買って近くの公園までレンタルサイクルで移動。ベンチに並んでちょっぴり遅い昼飯にありつく。
「信州いいね、白馬も気に入っちゃった」
「そう?俺はまだ良さがわかんないんだよね」
父親の転勤で長野市に来たもののいくらもいないで上京してしまったから。
実は白馬は俺も初めて。まあ峠の釜飯はかろうじて食べた事あったけど。
聖ちゃんは当然の様に俺に付け合わせの栗を入れてきた。
それは俺が栗マニアなの知っているから。
嬉しくて聖ちゃんを見ると俺を見上げながらニコニコしていた。
−−−可愛い…。
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