《MUMEI》 ブルーの下着コングは、あきらが万が一気絶したふりをしていたら反撃されるので、靴下を脱がし裸足にすると、足の裏をくすぐった。 「コチョコチョコチョコチョ」 少し変態じみている気がしたのでやめた。 「私は変態ではない。ドSなだけだ」 コングは自分に言いきかせると、一気に服を脱がして下着姿にしてしまった。 「おお、ブルーかあ!」 ブラとショーツだけにされたあきら。コングは無防備なセクシーガールに興奮した。 汚い倉庫の床に、下着姿で寝ているあきら。 コングはブラに手をかけた。 「ぐふふふ」 「何をしてる?」 見ると、2階から階段を半分まで降りてきた佐藤がいた。 「早く連れてこい」 「一発やってもいい?」 「ダメだ」 「せめて裸が見たい」 「ダメだ」 ボスには逆らえない。コングは仕方なくあきらを抱き上げた。 「……」 目が覚めた。 あきらは自分の格好を見て一瞬慌てたが、観念したように深く溜め息を吐いた。 「お目覚めかな。お姫様」 ベッドに大の字の格好で手足を拘束されている。敵に大切な体を投げ出しているのは何とも落ち着かない。 しかも下着姿だ。 あきらはやや笑みを浮かべると、佐藤を見上げた。 「最近寝不足だったんで、よく眠れたよ」 思いがけないセリフに、佐藤はほくそ笑んだ。 「ほう。なかなかいい度胸してるじゃねえか」 佐藤は、愛梨に負けない美少女のあきらをながめ回した。 顔もかわいいが、セクシーなブルーの下着も手伝ってか、たまらなく魅惑的だ。 「これは、万が一脱がされたときのための勝負パンツか?」 「くだらない」 あきらはムッとして横を向いた。 佐藤はあきらの顎を指で掴むと、思いきり上向かせた。 「よせ」 「あきら。最初に警告しておくけど、生意気な態度を取るなら全裸にしちゃうぞ」 敵に裸を晒すのはやはり屈辱的だ。あきらは小声で言った。 「わかったわ」 「よーし」佐藤は笑みを見せた。「俺は基本女の子には優しい。いい子にしていればひどいことはしない」 あきらは部屋を見渡した。 ボスのほかに数人の男。宏はいない。 「あきら」 佐藤がおなかを触りながら聞く。 「警察はどこまで知ってる?」 「てっぺんまで知ってるわ」 「てっぺんとは?」 「官房長官」 佐藤は笑った。 「冗談は一回だけ許そう。でも今度言ったら」 佐藤はあきらのおへそに拳を押し当てた。 「あっ…」 「思いきり行くぞ。いいな?」 本当に殴られたら危ない。あきらはまじめに答えた。 「所長まで知ってるわ」 「所長かあ」 かなり知られている。佐藤は考えた。 「まずいな」 ほかの男たちに動揺が走った。 「どうしますボス。高飛びしますか?」 「バカ。漫画家は逃げも隠れもできないだろ」 「そっか」 あきらがまた強気に出た。 「日本の警察は交渉しない。さあどうする?」 「あきら」 佐藤はショーツに手をかけた。 「いい下着だからながめていたかったが、今度余計な口を挟んだら、切るぞ」 そう言うと佐藤は、二本の指でハサミのように切る真似をした。 「そんなに裸が見たいなら見せてやってもいいよ」 あきらが睨む。佐藤は笑った。 「性的拷問には屈しないタイプか。なら愛梨を裸にしよう」 「やめろ!」 あきらの顔色が変わった。 「あたしのことは好きにしても構わない。あの子だけはやめてくれ」 佐藤はあきらを見下ろした。 「愛梨も同じことを言っていた。自分のことは好きにしてもいいから、あきらチャンにはひどいことはしないでと」 あきらは顔を赤くした。 「感動したか。女の友情ってやつか」 「あんたには一生わかるまい」 佐藤はいきなりイスを蹴倒した。あきらは慌てた。 「冗談だ。何キレてる?」 しかし佐藤は怒りの表情で男たちに言った。 「おい、スタンガンを持ってこい」 スタンガンと言われ、あきらは身じろぎした。 手足に力を入れて必死にもがいた。 (まずい…) 前へ |次へ |
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