《MUMEI》

その幻影は、〆華が次巡で「月見酒」を完成させることを兼松に確信させる…。



(…ここらが引き際か……。)



兼松は『ふぅ…』と溜め息を一つ吐き、高目役への渇望を押し殺す。



そして「梅の字札」を「梅のカス」に合わせ、返しの一枚が空振りするのを見届けると、低く澱んだ声で発した。



『勝負…………。』



酒が抜けきらず血走った眼が、血のように赤い三枚の字札を不服そうに眺めながらも、兼松は勝負を急いだ。



『………………赤タン…。』



用心深さとは、臆病な生き物が生き長らえる上で欠かせない要素だ…。



1月… 〆華 0―6 兼松



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫