《MUMEI》
――― 梅の月
2月の勝負…



先程とは一変、なんら変わり映えしない手札の色に、兼松は初巡から我慢を強いられる。



それは〆華も同様だった…。



互いに「柳」以外の20点札を2枚づつ取り合い、猪鹿・赤タン・青タンを構成する札を分けて、互いの役作りを殺してゆく。



肝心な「菊に盃」だが…



他の「菊」の2枚のカスが既に兼松の取札の中にあり、場は動く気配すら無かった。



どうやら「盃」は山札の中に埋もれているようだ…。



〆華は粛々とカスを集め続け、兼松はタネを取り続けた。



重苦しく苛立ちが募る展開の中、秒針が時を刻む音と札を打ち合う音だけが、菖蒲の間に木霊していった…。

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