《MUMEI》
朔弥の唇の感触が、怜の唇に残っている。
メイドとして働いている中でも何度も唇を触っては、キスの感触を確かめた。
食事の時間に五箇条家が揃い椅子に座る光景を目のあたりにした怜は、不思議に思った。
長いテーブル
家族の顔が見えるか
見えないかの距離感
──こんなテーブルで食事して美味しいのかな?
不思議に思いながら、お料理を運んだ。
次々とテーブルに料理を置いていくと、機嫌が悪そうなオーラが感じた。
そこには、朔弥の姿があった。
「朔弥お坊ちゃま?どうなさいました?」
「俺の話を聞いていてなかったのか?口を聞くなって言っただろ?」
痛々しい視線が、怜を襲う。
「ですが、……何も言わずにお料理を置くなんて変ではありませんか?」
その時、旦那様が口を開いた。
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