《MUMEI》
修練2
「そういえば・・そんなことやった記憶も・・・」
「彩の責任だ・・・」
バンプの言葉を聞こえない振りでごまかし、
「式夜〜魔力は使っちゃダメ!それから・・防御主体で。狩月は、どんどん攻めて!多少当たっても大丈夫だし・・」
「当たっても大丈夫って・・痛いですよ?」
「それくらいは我慢って言うか・・私と稽古してる時なんていつもボコボコになってるから大丈夫だって。」
彩詩の言葉に悔しそうに顔を紅潮させながら、
「さっさと攻めて来い!主人も、そういった事はあまり言わないでください・・」
やや恥ずかしそうに声が小さくなっていく。
「え〜でも本当の事だし、この前だって・・」
「彩・・お願い。言わないで・・・」
小さく言葉をもらす。顔は真っ赤で、やや泣きそうになっている。どうやら相当恥ずかしいようだ。
「彩、それ以上言わない。式夜もちゃんと構える。狩月は、せっかくのチャンスなんだから攻めないとダメだよ。」
「でも・・卑怯なんじゃ・・」
「ん〜たしかにね。だけど、油断してるのが悪いから。いつでも緊張感をってことかな。」
「そんなもんですか・・」
「そう言う事だ。」
その声はすぐ側で聞こえた。喉元には木剣。
式夜の顔は赤いままで、声にもやや焦りがある。木剣を引き、4メートルほど距離をとる。
「速く攻めて来い。」
その様子を見てしょうがないなぁといった感じの表情を浮かべるバンプ、彩詩も横で似たような表情をしている。
「えっと・・よろしくお願いします。」
律儀に一礼してから間合いを詰め上段から斬り込む。それを軽いバックステップで避けると半歩前に出ながら剣を振るう式夜。
「うわっ・・」
慌てて後ろに下がり回避する。斬撃はかなり速いが見えないほどではない。もっともバンプ達から見ればかなり遅い一撃。
(ちゃんと手加減してくれてるんだ。)
言葉には出さず感謝する。

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